岳習帳テーマ
 


  A 山での歩き方等   1 歩き方    2 ストックの使い方    3 登山と栄養     4 マナーとモラル   5 行動食    6  休憩の取り方   

                 7 水分補給   8  危険個所の通過     

 
  B 山での病気    1 熱中症      2 低体温症        3 マウステープ    4 登山と脱水  

  C 山での事故    1 ビバーク     2 初期対応        3 セルフレスキュー    4 連絡方法    5 簡易ハーネス   

               

  D 山の気象      1 山の気象    2 山の観天望気    

  E 山の装備     1 レインウエアの手入れ      2 入会者用装備    3  レイヤリング   4 日帰り装備    5 登山靴    6 レイヤリング2


  F 山の読図     1 ナビゲーション             

  G 山に登る前    1 準備運動     2 トレーニング     3 効果のある筋トレ       4.登山計画書 

  H 雪山        1 雪山を楽しむ   2  雪山での歩き方   3 冬山装備   


     
               

 
 

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    A 山での歩き方 等

 1 「山での歩き方

  【登山の歩き方、
        10
のコツ!

 膝や筋肉に負担をかけない方法は?】

 

   基本姿勢

山での歩き方の基本姿勢は、頭から背中にかけてまっすぐにすることが大切です。急登の場合や、荷物が重い場合は、やや前傾姿勢で、登りこむ足に徐々に体重移動をしながらグッと登っていきます。登山初心者や疲労困憊した登山者は、猫背で地面を見て歩きがちなので注意しましょう。

   歩幅

歩幅は、小さく細かく歩くのが脚にも負担が少ないのでおすすめです。たとえ、登りの時に大きな段差があったとしても、直登するのではなく、横回りして細かく登って行った方がラクです。

   足裏

足裏全体を斜面にフラットにつけて登っていくほうが疲れにくいですし、登山靴のソールのフリクションもよく食い込むので滑りにくいです。

   急登の場合

斜面が急な時の登り方としては、直登するよりもジクザグに登っていく方が負担が少なくなります。

   下山が急な場合

下山では、脚への負担がとても大きく、筋肉痛は、主に下山時が原因です。下山時に、急斜面が出てきた時は、まっすぐそのまま下るよりも、体も足も横向きにして下った方が脚の負担を軽減できて楽です。

   ストックを使う

脚の負担を軽減するためにストックが有効です。膝痛を抱える人にとっては、必需品のアイテムかもしれません。疲労が出てきて、転倒しやすい下山時には特にありがたい存在です。但し、ストックに頼りすぎない様に注意しましょう。

   同じペース

歩くスピードの目安としては、息がハアハア切れない程度、おしゃべりできる程度が良いでしょう。だいたい一定のスピードで歩くと、長く歩くことができます。

   定期的に休憩をとる

   ガレ場の通過

浮石がゴロゴロしているところを通過する時は、落石に注意しましょう。なるべく浮石には足を置かないように見極めて通過しましょう。それでも石を落としてしまったら、下の人に「ラ~ク」とか「落石」と言って知らせましょう。

   登山中の手の位置

ストックを持っていない場合は、ザックの紐をつかんだり、ショルダーベルトを持ったり、腕を前で組んだりすると楽です。ずっと手を下にしているとむくんできてしまいますので、定期的に手の位置を動かすのもいいでしょう。

出典:YAMA HACK「登山の歩き方10のコツ」(まとめ野元)

 

 2 登山での


    ストックの

      効果的な使い方
 



  
  
  

皆さんが日頃使用されるストック(「トレッキングポール」とも言います)、正しい使い方について改めて整理してみました。但し、山歩きの基本はあくまでも脚で歩くことです。ストックに頼り過ぎるのは禁物です。ストックは飽くまでも補助であることを忘れないでください。

 

【ストックの役目】

山を登る際は、ストックから上半身の力を足に伝えることで推進力を高め、下る時は体重や荷物の負荷や衝撃を緩和させることで、脚や膝への負担を軽減してくれる役割を担ってくれます。また、起伏が激しい登山道ではバランスを保ち転倒するリスクの軽減の効果もあります。登山は長時間の歩行により知らず知らずのうちに足への疲労やダメージを蓄積させてしまいます。ストックを使用することで、リスクを分散させ効率のよい登山が可能となります。

 

【ストックの各部の名称】

握る部分である「グリップ」グリップから伸びる紐長時間の登山時に握力の消耗を防ぐ「ストラップ」ポールの本体部分である「シャフト」先端が地面に埋まりすぎないようにする「バケット」バケットは先端についている傘のような部分のことです。一般的な登山用と傘の広い雪山用の二種類があります。

ストックの長さ】

まず基本の長さである平地で使用する場合、グリップを握った状態の時に肘が直角に曲がる程度の長さを目安にしていきます。登りの時はより推進力を得るため、グリップが腰の高さにくるまでポールを短く調整するのがおすすめ。一方下りの時は、グリップが胸の高さにくる長さまで伸ばすことでバランスをより取りやすくなります。それぞれ用途に合わせて細かく長さを調整することが大切です。

 

【ストックの使い方】

実際にストックを使用して歩く場合、こちらも平地・登り・下りで若干使い方が異なります。平地の場合、踏み込んだ足の反対側のストックから前方へ突きます。この時、前に出した足のかかとの水平の位置に突くようにしましょう。リズミカルに歩幅をやや狭くするとよいと言われています。登る時は、少し前方へストックをつき、足とストックへ重心を移し残った足を引き上げる感覚で突いていきます。ストックが常に垂直になるよう意識するのがポイントです。また、きつい登りの時はグリップのすぐ下の「ロンググリップ」部分を握るとよいでしょう。下る時はストックを足のすぐそばに突くようにします。歩幅は平地よりさらに小さくすることを心がけ、体重をかけすぎないように注意しましょう。また、岩場ではストックをザックに収納するか、仲間同士交代で持つなどして、両手を空けるようにします。

 

(出典:Wikipedia、田部井淳子の登山入門、その他  まとめ:野元)

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 3  登山と栄養


  
 

登山は莫大なエネルギーを消費します。本格的な登山で7時間から10時間歩いたとすると、5,000kcalから7,000kcal消費することになります。マラソンで使うエネルギーが2,0002,500kcalであることを考えると、登山は1日当りでは、大量のエネルギー量を消費します。
●登山の燃料は?
 登山の燃料は、炭水化物と脂肪です。これらを酸素によって燃やし、そのときに出るエネルギーで筋を動かします。脂肪は1週間も使えるほどの膨大な貯蔵が可能ですが、炭水化物は体内に一定量以上(炭水化物だけを使用したとして、1.5時間)を蓄えることができません。炭水化物は食いだめは出来ませんし、余ったものは脂肪として貯蔵されます。

炭水化物は単独でも燃えますが、脂肪は炭水化物と混ぜ合わせなければ燃えないという性質があります。つまり炭水化物がなくなってしまえば、脂肪がたくさんあっても、筋は動かなくなってしまいます。炭水化物は脂肪を燃やすための、燃料促進剤なのです。

 山での歩行中に急に眠くなったり、ボーとしたことはありませんか?
これは寝不足とかではなく、血糖値(血液中のブドウ糖の量)が下がったことによるものです。血糖値は体内の炭水化物の貯蔵がなくなってくると低下します。脳、神経系のエネルギーになるのは炭水化物だけです。炭水化物がなくなると、精神的な活動能力が低下してきます。中高年の事故でも「ボーッとして何でもない所で転んでしまった」は、この脳の働きが低下したためと考えられます。

食物栄養素は、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル5種類があります。長期間の登山ではすべての栄養素が重要となります。炭水化物は糖類とデンプン類の2種類があります。
(
)糖類(砂糖、飴、チョコレートなど)
 速効性の燃料で急激に血糖値を上げる作用があります。特にバテた時には効果的です。

(2)デンプン類(ご飯、餅、麺類、パンなど)
 遅効性の燃料で、血糖値をゆっくり上昇させる作用があります。その効果の長持ちし
 「腹持ち」の良い食べ物と言われます。
●どのように食べたらいいのでしょうか?
(1)
朝食: 必ず食べましょう。遅効性のデンプン類(ご飯や麺類)を食べるのが良いでしょう。
(2)
昼食及び行動食:
 炭水化物は12時間でなくなりますから、昼食でまとめて食べるのではなく、こまめに食べるのがよいでしょう。腹持ちの良いデンプン質と速効性の燃料の糖類を組み合わせると良いでしょう。
(3)
夕食:
 泊りがけの登山の場合、昼間の行動によって体内の炭水化物の貯蔵量はかなり低下しています。次の日の行動に備え積極的に補給しなければなりません。また、タンパク質や脂肪もバランス良く取ることも必要です。登山中は食べ過ぎより食べなさ過ぎに注意しましょう。

 

   (出典:日本山岳ガイド連盟認定ガイド 三島健悦氏の記事より。 まとめ:野元)



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  4 マナーとモラル

 山のマナーとモラルについては、皆様は既に理解し実践しておられると思いますが、確認の為に改めて整理してみました。参考にして頂き、自分の行動を振り返りましょう。

 

1.       自立した登山者として必ず山岳保険に入る

全会員が労山基金に加入しておられますが、必要に応じて口数の変更や他の山岳保険をご検討ください。

2.       登山計画を周囲に伝え、登山届けを提出しておく

宿泊山行は勿論のこと、日帰り山行でも家族に山行計画が分かるようにしておきましょう。

日帰りでも、例えば比良山系等では登山口で登山届けの提出が求められます。

3.       公共交通機関を使った移動の際の注意点

ザックやストックが他の乗客の迷惑にならないように留意しましょう。また、夏場で発汗が多い時は乗車前に着替えて匂わない様に配慮しましょう。

4.       登山道を塞がない。基本的には登り優先

登山道を塞いで休憩すると他の登山客に迷惑です。基本は登り優先、下りの人の方が相手に気付きやすくすれ違う場所を探しやすいからです。しかし、先に下りた方が良い場合もあります、その場の状況で臨機応変に対応しましょう。お互いに譲り合う心が大切です。

5.       知らない人にも挨拶をしよう。

但し、コロナ禍の中、ソーシャルディスタンス、小声、会釈等、感染予防にも配慮しましょう。

6.       山へのローインパクトを心がける

登山道では道を外れて歩かない。山の環境破壊に注意しましょう。

7.       植物や石を採取しない。動物にエサを与えない

生態系保存の為、少量でも持ち帰ってはいけません。食物連鎖にも影響がでるので餌やりは禁物です。

8.       ゴミを捨てない。ゴミは家まで持ち帰る

予め余分な包装を剥がしておけばゴミの量を減らせます。山では汚れた食器も洗いません。洗うと付着した油分や塩分などを山の自然に捨てることになります。カップ麺の汁等も山に捨ててはいけません。飲み干すか、ティッシュ等に吸わせてお持ち帰りください。

9.       山のトイレを利用する際の注意点

山のトイレ利用に当たっては注意事項を読み、ルールを守りましょう。

10.  山での行動は早発ち・早着きが基本(山小屋・テント泊の場合)

日の出前に行動し始め、午後の早めに宿泊地へ到着が基本です。日没後は早めに就寝。

11.  山小屋やテント場のルールを厳守する

下界のホテルとは違います。各小屋やテント場独自のルールを厳守しましょう。

12.  水は無駄なく使い、残飯を捨てたりしない

水を大切に使うと共に汚れた水を流さない。山小屋の食事は全て食べきり残飯を残さない。

13.  トイレ以外では大便をしないよう努力を

もしもの時は穴を掘り埋める。埋めないと分解されないまま沢へ流れ込む可能性がある。

(出典:「山と渓谷社」、その他。   まとめ:野元)



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  5 行動食


    
   

日常の生活では一日三食が基本ですが、登山では少し話が変わります。何故でしょうか?
日頃の生活と異なり、登山では莫大なエネルギーを消費します。本格的な登山で7時間から10時間歩いたとすると、5,000kcalから7,000kcal消費することになります。登山では1日当りでは、大量のエネルギー量を消費します。日常の一日三食の食事ではエネルギー補給が不足して所謂「シャリバテ」してしまいます。そこで、行動食が大切になります。

●登山の燃料は?
 登山の燃料は、炭水化物と脂肪です。これらを酸素によって燃やし、そのときに出るエネルギーで筋を動かします。脂肪は1週間も使えるほどの膨大な貯蔵が可能ですが、炭水化物は体内に一定量以上(炭水化物だけを使用したとして、1.5時間)を蓄えることができません。炭水化物は食いだめは出来ませんし、余ったものは脂肪として貯蔵されます。

炭水化物は単独でも燃えますが、脂肪は炭水化物と混ぜ合わせなければ燃えません。つまり炭水化物がなくなってしまえば、脂肪がたくさんあっても、筋は動かなくなってしまいます。炭水化物は脂肪を燃やすための、燃料促進剤なのです。
 山での歩行中に急に眠くなったり、ボーとしたことはありませんか?
これは寝不足とかではなく、血糖値(血液中のブドウ糖の量)が下がったことによるものです。血糖値は体内の炭水化物の貯蔵がなくなってくると低下します。脳、神経系のエネルギーになるのは炭水化物だけです。炭水化物がなくなると、精神的な活動能力が低下してきます。中高年の事故でも「ボーッとして何でもない所で転んでしまった」は、この脳の働きが低下したためと考えられます。
 食物栄養素は、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラル5種類があります。長期間の登山ではすべての栄養素が重要となります。炭水化物は糖類とデンプン類の2種類があります。
(
)糖類(砂糖、飴、チョコレートなど)

 速効性の燃料で急激に血糖値を上げる作用があります。特にバテた時には効果的です。

(2)デンプン類(ご飯、餅、麺類、パンなど)
 遅効性の燃料で、血糖値をゆっくり上昇させる作用があり、効果が長持ちします。

●どのように食べたらいいのでしょうか?
(1)
朝食: 必ず食べましょう。遅効性のデンプン類(ご飯や麺類)を食べるのが良いでしょう。
(2)
昼食及び行動食:
 炭水化物は12時間でなくなるので、昼食でまとめて食べるのではなく、休憩の度にこまめに食べます。腹持ちの良いデンプン質と速効性の燃料の糖類を組み合わせると良いでしょう。
(3)
夕食:
 泊りがけの登山の場合、昼間の行動によって体内の炭水化物の貯蔵量はかなり低下しています。次の日の行動に備え積極的に補給しなければなりません。

 

   (出典:日本山岳ガイド連盟認定ガイド 三島健悦氏の記事より。 まとめ:野元)
 

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   6 休憩の取り方


 

登山の休憩時、皆さんは何をしていますか?今回は、『登山の休憩ペース』について解説します。

「登山時の休憩・5つのコツ」

①疲れ切る前に休憩する

6090分歩いたら休憩を取る

自分に無理のないペースでゆっくり歩き、最初は歩き始めてから30分後に装備の調整のために一度休憩をとり、そのあとは6090分歩いたら10分程度の休憩をとるのが一般的です。

・休憩回数は少なく、時間は短く

登山時、頻繁に休憩したり、荷物を下ろしたり腰を下ろして行動を中断してしまうと、歩行のペースが乱れます。できれば立ったままで休憩を取り、水分補給や糖分補給等をこまめに取ります。

・お昼ご飯でゆっくりしすぎない!

頑張って登ってきたのだから、山頂でゆっくり休憩してお昼もしっかり食べたいですよね。しかし下山時の行動等を考えると、お昼ご飯もできるだけ手短に済ませ、行動食程度にしておきましょう。


休憩をコントロールする

・行動のリズムを崩さない

頻繁に休憩をとったり、腰を下ろして長い時間休憩をとってしまうと、リズムを崩すだけでなく、体が冷えて、筋肉も固くなってしまいます。

・荷物が重い時は、立ったまま呼吸を整える

荷物が重い時は、腰を下ろして休んでしまうと、立ち上がる際にエネルギーを余計に消耗します。立ったまま呼吸を整えるようにして、なるべく座り込んで休憩する回数を減らすようにしましょう。


休憩出来ない場所では休まない

・危険地帯では時間にとらわれず行動!

急斜面やガラ場、雪渓など、足場の悪い不安定で危険な場所では行動を中断せず、安全な場所についてから休憩をとるようにしましょう。


「ペースを一定に保つ」の「ペース」は速度のことじゃない!

・焦らず、普段よりかなりゆっくり歩く

登山時にバテないで登るためには、「ゆっくり」歩くことが何よりも大切です。普段歩く速度より、意識してゆっくり歩くよう心がけましょう。登山の上りでは300m/1hが目安です。

・「ペースを一定に保つ」の「ペース」は、速度ではなく心拍数

登山時の「ペース」を測る際には、速度ではなく心拍数が使われています。登山時にバテないで登るためには、最大心拍数(220-その人の年齢)の75%を保ちながら歩くとよいです。


休憩中にもすることはある

・水分と電解質を摂る

休憩時にまず第一にしなければならないのは、水分と電解質(塩分等、ミネラル)の補給です。

・糖質を摂る

そして消費したエネルギーを補給するために、意識的に糖質を摂ることを心掛けましょう。

・行動計画と実際の進捗をチェックする

休憩時には地図を見ながら、行動計画と実際の進捗状況を確認するようにしましょう。

・メンバーの体調をチェックする

一緒に登っているメンバーの体調も確認しましょう。バテてしまっている人がいないか、体調は問題ないかなどもチェックします。

(出典:YAMAHACK:監修/笹倉孝昭(公益社団法人日本山岳ガイド協会山岳ガイド、まとめ野元)


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    7 水分補給

 

北アルプスの「疲れて動けない」「発病」で救助要請した人 の8割以上は、脱水が悪影響する病状でした。

 

1.   登山前、朝食の他に 500ml の水分補給

寝ている間は、呼吸や汗から水分が逃げていくため、起床時は脱水気味。 登山開始の OK サインは2回以上の排尿。起床時に1回、さらにもう1回 排尿したら身体が潤ったサイン。尿が出るまでしっかり飲んで出発しよう!

 

2.   心臓発作は脱水が引き金の一つ <心臓死は山の三大死因の一つ>

登山中は血圧が上がり脈も早くなるので、心臓の負担が大きくなります。 さらに脱水が加わると、血液がドロドロして心臓の血管が詰まる原因に! 心筋発作を起こして心臓が止まるまで、半数が1分以内。ゆっくり登って心 臓の負担を減らし、小まめな水分補給で血液をサラサラに!

 

3.   脱水だと高山病になりやすい

標高が上がると、薄い酸素を取り込もうと呼吸の回数が増え、吐く息から 水分がどんどん失われます。高山病も脱水も、頭痛、疲労、めまい、吐き 気、と言った症状で、バテた時と似ていて見分けがつきにくいものです。 高山病を疑ったら、脱水の対応も一緒に行いましょう。

 

4.   登山中は 30 分毎に水分補給!

排尿の回数は日常生活と同様、2〜3時間に 1回が目安。排尿が少ない場合は、脱水のサ インです。30 分毎の小まめな補給は、小ま めな休憩も兼ねますので、運動による体熱の 産生を止め、熱中症の予防にも効果的です。

 

5.   登山後も 500ml の水分補給!

登山後は、脱水気味の上、体の老廃物を洗い流すには、普段より水分が必要 です。今日の脱水は今日解決しないと、翌日の行動に影響します。

 

塩分やミネラルを含む飲料「経口補水液」は”飲む点滴”と言われ、登山前・ 中・後、どのタイミングでも体を潤す効果がありオススメです。

三浦雄一郎さんが 80 歳でエベレスト登頂した時は、30 分毎に水分を補給していまし た。お陰で心臓発作もなく、血圧も安定、高山病にもなりませんでした。前年の予備遠 征では、登山中に水を飲む習慣がなく、不整脈の発作が出ていました。三浦さんは「水 分補給は登山技術の一つ!」と実践。これがエベレスト登頂の大きな秘訣でした

 

【経口補水液の作り方(例)】

水1リットル+塩小さじ1/2(約3g)+砂糖大さじ3(約27g)

 

(出典:国際山岳医 大城和恵氏の寄稿)


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   8 危険個所の通過方法

登山における難所と呼ばれる場所には様々な地形があります。いずれも不安定で、転倒や滑落の危険がある場所です。このような難所と呼ばれる場所では以下のことが重要となります。

「姿勢を安定させる」、「足をうまく使う」、「重心移動を行う」

 

<岩場の通過方法>

岩場にも様々な場所がありますが、ここでは自分の背丈以上の岩場を登る時の基本的な登り方について考えていきます。岩場に取り付く時は両手両足を使うため、ストックやカメラ、サコッシュ、ペットボトル等はザックの中にしまいましょう。またザックのストラップが邪魔にならないように確認をしましょう。手足を動かしやすい状態になったら、安全で歩行しやすいルートと足場を考えながら登っていきます。胸を張り、手足と背筋を伸ばすことを意識して登ることで疲れにくく安定した登りが可能になります。登る時は三点支持を意識して、両足は適度に離れた状態を維持しながら登ることで、岩場の上で止まった時に安定させることができ、落ち着いてルートを決めることができます。三点で支持して一肢だけを自由にして次の手がかりへ移動することで安全に登ることができます。この方法で岩場や梯子を登ることを覚えておきましょう。

 

<鎖場の通過方法>

鎖場がある場所は、その多くが切り立った岩場であることが多いです。鎖があると、それを必ず利用しなければいけないというルールはないので、傾斜や周りの状況を見極めながら鎖を利用するかどうかを考えましょう。鎖を使用する時には、鎖場の支点に対して真下で鎖をしっかり張ってから登り始めるようにしましょう。降りる時も同様です。鎖が横に逸れてしまうと体が振られやすく安定して上り下りができません。また1支点間に複数人が鎖を利用してしまうと、1人がバランスを崩した時に他の人が巻き込まれてしまうので、1支点間には必ず1人で鎖を利用するようにしましょう。鎖を使って登るときはクライミングの基本でもある、足を先に出して登っていくことが重要です。腕を伸ばして後から足を使うような登り方だとバランスが悪く、疲れやすいです。鎖やロープに頼り切らず、あくまで補助的なものとして使います。

 

<梯子の通過方法>

梯子がある場所も、その多くが鎖場と同様に切り立った岩場であることが多いです。高度感を感じやすく、足がすくみがちですが、しっかりと胸を張って、足元をよく見て一歩ずつ登ることが重要です。梯子にも様々な素材、形状があるため、破損していないか、またしっかり固定されているかを確認して階段を上るように1歩ずつ交互に足をおいて登りましょう。こうすることで、途中梯子に破損があっても、滑落する危険を防ぐことができます。

 

<トラバースの歩き方>

トラバースとは直訳すると「横切る・横断する」という意味になります。登山用語としてのトラバースは山の斜面を水平に移動することを言います。このような場所では落石が多く、また斜面から転げ落ちた石や岩が足元に散乱している、いわゆる砂礫地で滑りやすいため歩行には注意が必要です。このような場所では谷川の足をやや外向きにすることで、滑った時にバランスを崩しにくく安定した歩行が可能です。また小さなステップで歩くことで、重心移動を少なくすることができるので滑りづらく通過することができます。

(出典:山旅旅「登山の入門・マニュアル」 まとめ 野元)


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  B 山での病気 
 
 1 
熱中症対策
 
夏に向けて熱中症の危険度が高まります。最近は新型コロナの影響で例会の中止が続き、
なかなか山に行けていません。一方、例年熱中症で病院に搬送されている方の半数は自宅で
熱中症になったというデータがあります。
従って、登山中に限らず自宅や散歩中も含めた広い範囲での熱中症対策について注意が必要です。今年は例年以上に熱中症にならないようにしっかりと対策しましょう。

 

 暑い時に水を飲まずに運動すると、汗をかけなくなり、体温が上昇して疲労します。車のエンジンのオーバーヒート状態です。人間の体の約6割は水分です。一般的な人では体重の2%の水分(60kgの人ならば1.2kg)が失われただけでも脳や神経系の働きも含め、身体の機能は大きく低下します。 

・熱中症とは

暑い環境下で起こる障害の総称で、脱水時には特に起こりやすくなります。①熱痙攣、②熱疲労、③熱射病に分類され、③を起こせば生命の危険があります。

・筋の痙攣:多量の汗をかいて水分と塩分が失われた時、真水ばかり飲んでいると体液が薄まり、筋が痙攣しやすくなります。登山では、ふくらはぎやふとももの筋(骨格筋)で起こりやすく、胃や腸など消化管の筋(平滑筋)が痙攣することもあります。

・運動能力の低下

脱水が起こると血液中の水分量が減り、血圧(心臓のポンプ圧)が低下し、筋に行く血液量が減ります。その結果酸素や燃料の供給量は約10%減少し、普通の人では持久能力が510%低下します。同時に筋力の瞬発力も低下します。

・心臓への負担の増加:体重の1%の脱水が起こると心拍数が510拍上昇し心臓への負担が大きくなります。

・血液粘性の増加:血液の水分量が減るとドロドロになり、動脈硬化を起こし易い。

・脳神経系の機能低下:脱水に陥ると集中力や注意力が低下し転倒や道迷いをし易い。

【行動中の脱水量(ml)=体重(kg)×行動時間(h)×5(暑い時は係数5を増やす)】

 

★水分補給の方法

1)タイミング:

出発前に先取りして水分補給しましょう。行動中は小分けにして頻繁に飲み、少なくとも30分又は1時間毎に補給します。ハイドレーションシステムを利用すると歩きながら何時でも水分補給が可能です。

2)何を飲むか?

登山では、水分と共に塩分の補給が必要です。1リットルの水に12gの塩分、スポーツドリンクも効果的です。脱水症や熱中症になった際には経口補水液(OS-1等)が効果的です。

3)水分の温度

 ・夏場:冷水が良い。腸での吸収が速く、胃の中で直接身体を冷やせる

 ・冬場:温水が良い。冷水では体が冷えてしまうから。

★自宅での熱中症対策

 ①十分な睡眠 ②バランスの良い食事 ③エアコン等を活用して快適な室温に保つ

    (出典:「登山の運動生理学とトレーニング学」山本正嘉著 まとめ:野元) 

                               先頭に戻る

  
  2 低体温症
  


    
   
 

低体温症とは、人間が生命維持をするための脳や心臓、肺といった器官の温度(深部体温)が35℃以下に下がった状態を指します。近年、この低体温症による山岳遭難が発生しています。

【実際に起きた登山中の死亡事故】

   2012年のGW。白馬岳三国境付近で6名の登山パーティー全員が亡くなる遭難事故がありました。事故発生当時、現場付近の山は突発的な気候の変化が起こったといいます。青空の好天から約1時間でみぞれ混じりの吹雪に見舞われ、身動きが取れなくなってしまったのです。全員の死因は低体温症でした。事故の現場は、標高2,700mの高所。しかし、何も標高の高い山だけでなく、低山でも低体温症による死亡事故が発生しています。

   20185月、新潟県五頭連峰で親子2名が遭難し、帰らぬ人となってしまいました。本件の死因も低体温症。遺体は標高1000mにも満たない場所で発見されました。

   20097月、海道大雪山系トムラウシ山でツアーガイドを含む8名の登山者が低体温症により亡くなりました。様々な判断ミスが重なり、厳しい天候に晒された結果、低体温症を引き起こし、多くの尊い命が失われる結果となってしまいました。事故当時、15分で体温が1度下がっており、発症してから2時間で亡くなっています。

【どういうときに起こるの? 条件は?】

では、低体温症が起こる条件とはいったい何なのでしょうか? 

・気温10℃以下   ・雨か雪(体が濡れる)
10m/秒以上の強風下(10mの風は山では珍しくありません。)

【山で低体温症になることの恐ろしさ】

まず最初に自覚するのは「寒気」と「全身的震え」です。それを過ぎると意識障害が生じます。もし発症したら、この段階でいかに早く対策をできるかが最重要ポイントです。なぜこの段階での対策が重要かというと、山で起こる低体温症は早期に意識障害が来るからです。

深部温度が下がり始めると血液の温度も下がるため、血液の中の酸素を運ぶヘモグロビンから酸素が放出されなくなります。これにより、体の約20%の酸素消費量を要する脳は酸素不足に陥ってしまい意識障害を起こすのです。つまりいったん低体温症になると、山では時間が切迫するということが恐ろしい点なのです。

【低体温症にならないための予防策】

低体温症は、体の表面から失われる熱量が、体内で作られる熱量や外部から得られる熱を上回ることで発生する症状です。体温が奪われる原因は、濡れた衣服を着続ける悪天候下で行動を続ける、など様々考えられます。また、エネルギーの摂取不足も原因の一つ。体内で熱を作ることができず、結果内部体温が下がってしまいます。山では加速的に意識障害が来ます。最初に寒気や震えを覚えると、そこからが早いのです。それを未然に防ぐためには、
・雨具、防寒着を着用する  ・濡れたものは着替える   ・カロリーをこまめに摂る
・冷たい雨風を防ぐ     ・意識的に暖かいものを飲む

また、悪天候の中ではツエルトがあると低体温症を防ぐことができます。天候が変わりやすい複雑な山岳地形へ行く時、等 緊急時対策用として準備することをおすすめします。

【対処・予防方法を覚えて、低体温症のリスクを減らそう!】

(出典:YAMA HACK 監修:金田正樹、日本山岳ガイド協会、 まとめ:野元)

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 3 マウステープ




     





口にテープを貼って寝る、そんな生活習慣が話題になっています。治療におけるセルフケアの一環として就寝前のマウステープ(口閉じテープ)が最近注目されています。

今夜からでもすぐに始められる簡単な”予防医療”です。最近知ったという人も多いでしょうが、文献によると1930年頃にはアメリカで夜寝る時に口にテープを貼っていたという記載もありますし、テープが開発される以前は皮のバンドなどで口が開かないように縛って寝ていたとも言われます。それくらい昔から「寝ている時に口が開くのは悪いことだ」と考えられていたのです。寝ている時の姿勢、恰好、状態は自分では全く分からないものです。就寝中には全身の筋肉が緩まり、体の代謝も下がってしまうために次の二つの現象が生じます。

<口が開きやすい・唾液の量が激減する>

この為、口の中が乾きやすくなり、口の衛生状態をきちんと保つことが難しくなります。

朝起きた時に口がカラカラになっていたり、口が渇くために枕元に水分を補充しておいたりする人も多いでしょう。人生の1/3はベッド上で過ごすと言われますが、質の良い睡眠をとることは、質の良い食事をとることと同じあるいはそれ以上に大切と言えるでしょう。睡眠が妨げられてしまう睡眠時無呼吸症候群では、日中の眠気や集中力の低下といった問題のみならず高血圧、糖尿病などのメタボリックシンドロームと深い関係があります。睡眠障害(睡眠負債)は人生の質を悪化させると言っても過言ではありません。軽度の無呼吸症候群であればマウステープ(口閉じテープ)一本でその夜から改善することが出来ます。

寝ている時は筋緊張が低下して舌がノドの方へ落ち込んでしまうためにイビキをかいたり、途中で息が止まったりします。ですから、「あいうべ体操」で舌のトレーニングを続けることは必須です。口テープはあくまでもその補助と考えて下さい。たとえば寝具によって口が開きやすくなってしまったり、アルコールや疲労の影響で普段よりも筋緊張が落ちてしまった時には口が開き気味になってしまいます。就寝時は、口が開きやすい、唾液が減るという状態なので体に悪影響をおよぼしてしまいます。

<ドライマウス・いびき・歯周病の悪化・口臭・無呼吸症・病巣疾患(病巣感染症)>

などです。これらはポカン口(口呼吸状態)から引き起されるとも言えます。さらに室内の乾燥や温度低下などが加わると良い睡眠が取れません。それらを改善するために口テープなのです。口テープは、就寝中の鼻呼吸を促して口腔内状態を改善します。口に細菌が繁殖してしまうと誤嚥性肺炎などの危険性が高まったり、インフルエンザなど上気道感染症を引き起しやすくなったりします。こんなに簡単なマウステープの効果、利点を列記します。

・風邪を引きにくくなる・いびきが減る・口が渇かなくなる・目覚めがスッキリする

・肌の調子がよくなる・くすみが取れる・夜間尿が減る・高血圧が改善する 等

寝ている時に、口を閉じて鼻呼吸を促すことがとても大切です。

          <出展:みらいクリニック・今井一彰氏、 まとめ野元 
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   4 登山と脱水


    

山に登ると多かれ少なかれ『かくれ脱水』になります。カラダの水分はつねに失われていますが、とくにカラダに強い負担がかかる登山では知らない間に多くの汗をかき、呼吸が荒くなって呼気から失われる水分(不感蒸泄)が増えるからです。
 さらに、途中でトイレに行かなくても済むように水分摂取を控えたり、荷物を軽くするために携行する水分を制限することが、脱水症のリスクを高くします。また、水を持っているのに、立ち止まって仲間との歩行ペースが乱れることを避けるために水分補給を怠る人も多く、こうした気づかいが一層脱水状態を進行させてしまうことがあります。暑い日は更に熱中症に進行することもあります。

山でカラダがだるいと感じたときには、単なる疲れではなく、脱水のサインだと考えてください。ほかにサインとして、歩いているときに足がつる人は、水分を補給しているつもりでも、汗で失う塩分の補給が足りていない可能性があります。また、脱水が進むと食欲が落ち、疲れて水分補給が億劫になり、脱水状態をそのままにしておくと重篤な脱水症になる恐れがあります。グループで山に入る場合、途中で元気がなくなったり、ペースが落ちたりする人が出てくることが少なくありません。そういう人はいち早く脱水状態になっていることが多いので、みんなで休みを取って水分補給をしましょう。山という特殊な環境では、誰か一人が脱水症になるだけで、グループ全体の行動力が低下します。夏山では、それが遭難につながる恐れもあります。


 立ち眩みや目まいといった症状は脱水症がかなり進行しているサインでもあり、高山病のサインでもあります。標高2,500m以上では高山病への注意が必要なのに対して、高い山でも低い山でも脱水への対応は重要です。

人間の体の約6割は水分です。一般的な人では体重の2%の水分(60kgの人では1.2kg)が失われただけでも脳や神経系の働きも含め、身体の機能が大きく低下します。

小まめに水分や塩分を補給することで登山での脱水を防止しましょう。小さなボトルをポケットに携行したり、ハイドレーションシステム等の道具も有効です。

 

(出典:Wikipedia、「登山の運動生理学とトレーニング」、その他  まとめ:野元)


 
   
  C  山での事故 
 
 1 ビバーク




 ① ロープを通して張る
 
 




  ② ツエルトにくるまる







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ビバークとは、登山やキャンプにおいて緊急的に野宿する事を言います。日本語で”不時泊”とも呼ばれます。簡単に言うと『緊急事態』ということです。

登山やハイキング、クライミングなどで、予定より時間がかかり日が暮れてしまった…というようなシチュエーションの時に、ビバークをします。そのほか、急な体調不良によって動けなくなってしまった…天候が急変した…メンバーが疲労のため動けなくなった…など、ビバークのケースは様々ですが、どれも山岳遭難の一歩手前の状況です。

一般的には、①【ツェルト】という”簡易テント”を利用する。②積雪期では雪洞を掘る。という2つの方法があります。

ツェルトとは、タープのようなナイロン製の布で、そのままかぶったりテントのように張ったりします。ツェルトがあるとないとでは、生きるか死ぬかくらいの差が出てくることもあるので必ず持参しましょう。雪洞を掘ってビバークする場合も、ツェルトがあると便利です。暗くなる前に素早く決断し、よりよいビバーク地を選ぶことが大切です。

<ビバークに適した場所>

風や雨がしのげ、水はけがよく、木を利用してツェルトを張れるところは適しています。落ち葉を集めて敷き詰めると、地面からの冷気を防ぐことができます。

落石の危険がなさそうで、風がしのげる所。もし稜線上でビバークをする事になってしまったら、岩と岩の隙間や、石でブロックを作り風よけをつくるのも有効的です。

<危険なビバーク地>

山頂や稜線上・・・・・風が強いうえに天候が悪化(雨や雷など)した場合危険。
川の流れのすぐそば・・増水の危険があり、流されてしまう可能性がある。
崖地・・・・・・落石の可能性がある。
草原、湿地・・・さえぎるものがない草原は、落雷の可能性がある。湿地帯では湿ってしまうことで体温を奪われてしまう。

 

まずは、冷静に!突然の場合、焦りや不安、遭難への恐怖という気持ちから、パニックになる事があります。落ち着いてビバークの決断と準備をしましょう。その時のために事前に心の準備をしておくことが大切です。ビバークは、寒さと不安との戦いです。”緊急セット”はいつも持ち歩くといいでしょう。防寒着を一枚余分に持つことも大切です。

   (出典:YAMA HACK 「緊急時のビバーク方法」)  (まとめ 野元)

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  2 初期対応
 
      救助要請

初期対応

まずは、深呼吸して落ち着きましょう。落ち着いたら、救急処置をするために安静にできる場所に移動させます。可能であれば救急処置をしますが、できない場合は体温だけでも確保します。

出血した傷の応急処置の原則は①水で洗う、②止血(直接圧迫)、③保護 の3ステップです。

 

【安全の確保ができたら、救助要請】

その場で携帯電話が通じれば良いですが、山は場所によっては通じないこともあるので、その時は電波が通じるところまで移動し救助要請をします。日が暮れてしまった場合は無理をせず、明るくなるまで体力を温存しておきます。救助要請の為移動する時は、怪我人の貴重品や行動食、水、防寒具、ヘッドランプなどは置いていってあげましょう。その場を離れますが、登山で道に迷ったり、遭難したりした場合の基本は「上に登る」です。その理由は次の2点です。

・人に出会いやすい登山道に出ることが大切
・谷や沢よりも、尾根上の方が電波が通じやすい 
逆に沢を下ることは、下のような理由でNGとされています。
・沢は突如滝に変わり進めなくなることがある
・転落してしまうと、体が冷えて死にいたることも

電波が通じる場所まで移動したら、次は電話で警察に救助依頼をします。
110番に掛けると自動的に携帯の位置情報が警察に伝わります。
また、地元警察にも情報が共有されます。救助依頼で伝える主な情報は以下の通りです。


・自分たちのいる位置情報(経度、緯度、標高)
・あなたの情報(名前、電話番号、年齢)
・負傷者の情報(名前、電話番号、性別、年齢、症状や容態、手当の状況など)

YAMAP等のGPSアプリがあれば、簡単に自分の位置情報を確認できます。

救助依頼後は、必ず救助隊の指示を仰ぎ、それに従いましょう。

 

携帯電話では電波が届く範囲の問題があります。特に樹林帯の中や沢筋にいるときは、まずつながらないと思ったほうが良いでしょう。ピークや尾根上は比較的つながり易いですが、それでも限度があります。奥まったところにある山等では、山頂にいようと繋がらないことが少なくありません。携帯使用時の注意点として、①話している途中で切れないように、立ち止まって話す。②通話後はその場を離れず、折り返しの電話がかかってくるかもしれないので電源も切らない。

 

もし携帯電話もアマチュア無線も持っていなかった(使えなかった)らどうするか。そのときはパーティのメンバーを最寄りの山小屋や山麓などに伝令に走らせて救助を要請するしかありません。途中でのアクシデントに備え、伝令は2人以上で遣わせるのが理想ですが、3人パーティの場合はひとりが事故者に付き添い、もうひとりが伝令に走ります。

 

(出典:YAMAHACK「山で怪我、初期対応や救助依頼」、その他  まとめ:野元)
     

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 3 セルフレスキュー


    
    
 
  

【絶対に起こしたくない、山での遭難や事故。】

しかし、自然の中に入っていく登山は、何があるかはわかりません。想像、想定を超えることが無いとは言えませんよね。いざという時の準備や心構えは絶対に必要です。また、他人の事故現場に出くわすこともあるでしょう。そんな時にどうしたらいいの??? 

というわけで、セルフレスキューについて考えてみたいと思います。

セルフレスキューとは、自分自身、もしくは自分たちのパーティーで安全を確保し、下山する。
もしくは、救助隊のレスキュー(チームレスキュー)到着までの安全確保措置。となります。

ネットで検索すれば、簡単にセルフレスキューの投稿が見つかりますが、実際はそんなに簡単なものではありません!いざという時に冷静に対応するのは山岳ガイドでも非常に難しいものです。だからこそ、日頃から「セルフレスキュー」について勉強してみましょう。

山のトラブル 救助要請が必要なケース

救助要請が必要な、自力で下山できない場合というのは、どういったケースでしょうか?

   転倒、滑落などによる深刻な怪我や病気、 ②現在地が全くわからない、来た道も戻れないほどの、深刻な道迷い、 ③行動に大きな支障がある、天候の悪化

などが考えられます。救助要請は簡単にするものではありませんが、要請が遅れて、更に深刻な事態になるケースもあります。自分達だけでは手に負えないと判断できれば、素早く救助要請をしましょう。しかし、救助要請をしたからといっても、レスキュー隊がすぐに、確実に来てくれるわけではありません。特に天候悪化の場合はヘリコプターは期待できません。

そこで必要になるのが、セルフレスキューとなります。

救助要請の仕方:携帯電話が通じることが前提となりますが、110番へ通報しましょう。

救助要請で伝えること、現在地、救助要請の内容と要救護者の状態及び情報、怪我の内容(骨折、出血多量)、病気の症状、道迷い、などどうして救助を要請するのかをはっきりと伝えます。
ファーストエイドができた場合はその内容も。           

(出典:「登山の安全管理」セルフレスキューを考える、 登山ガイド 沖本浩二)


伏見山の会で定期的に実施している勉強会、訓練。

・読図勉強会:道迷いを防止するために。

・救助訓練 :山行中のトラブル時、最低限の救出活動

・テーピング講習会、・救急法、・山の気象、・安全登山、

・登山での歩き方、・ツエルトの使い方 等

 

もしものトラブルの時にどう対応するか、日頃から問題意識を持ち、勉強会や訓練で学びましょう。例会の場合は複数で参加するので比較的対応しやすいですが、一人又は少人数の個人山行の場合、対応が難しくリスクが大きくなりがちです。リスクを考えた準備と行動が大切です。

山岳遭難の統計でも最も事故が多いのが単独山行です。単独での登山は特に要注意です!!

【もしものアクシデントに備えて必ず持参しましょう(例会・個人山行、何れも)】

   登山計画書、地図

   装備類:ヘッドランプ、雨具、救急用品、レスキューシート 等

   飲料水、行動食、非常食

   携帯電話(モバイルバッテリー)、等

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   4 連絡方法
 

     伝えるべきこと
   

もし自分が登山中に遭難したり、怪我をや病気で救助を求めることになったらどこに連絡して、何と伝えたら良いのでしょうか?

【救助を受けるときの手順】

 まずは自力下山が基本です。怪我や病気、低体温症など命にかかわる緊急事態に陥ることもあるでしょう。怪我や病気の人がいたらまずは応急処置を施して、雨風の当たらないところで楽な姿勢で休ませます。救助要請はその後で良いです。救助要請が必要な時の手順をまとめました。

【連絡手段がある時の連絡先と連絡事項】

「110番か119番です!!」(日本全国どの山でも共通)

110番は警察につながり、119番は消防(救急)に繋がります。基本は110番ですが、どちらに連絡しても情報共有されます。携帯電話の電波がつながる場所を探します。電波が届かない場合は見通しの良い場所まで登り電波を探します。キャリアや機種によってカバー範囲が違います。

【救助要請の際、何を伝えるか?】

 まず、山岳遭難であることを伝えます。警察の担当部署に転送されるか折り返しの電話があります。以下の様なことを聞かれますので状況を整理してメモしておきます。

 ・場所(緯度、経度、尾根か樹林か、予定していた目的地、目印となる場所からの距離等)

 ・事故発生日時、現場の天候

 ・怪我、病気等の容態、原因(滑落した、熊に襲われた 等)

 ・食料、水、燃料の有無

 ・要救助者の人数、氏名、年齢、性別 等

 ・救助要請者の氏名、住所

 ・連絡手段(携帯電池など、電池の残量も伝える)

 ・登山計画書の提出有無 等

【ヘリコプターから見つけてもらうには】

 上空から見つけるのは至難の業のようです。見つけてもらう努力が必要です。

 ・目立つ色の服を持ち、上空に向かって円を描くように振る。

 ・ヘッドライトの明かりをつける

 ・鏡で反射させる、発煙筒等で煙を出す

 ・エマージェンシーシートをつかう。

【連絡後にやること】

 携帯電話で家族と連絡をとることは必要最小限とし、バッテリーを温存します。

【救助が必要だが、連絡手段が無いとき】

 ・仲間が複数いる場合

  誰かが負傷者に付き添い、複数人で山小屋かビジターセンター等で救助要請をします。

 ・二人の場合

  通りがかりの人がいれば、救助要請をお願いします。行動できる時間があればビバークの準備を整えて一人が救助要請に動きます。行動中に暗くなるようなら、二人でビバークし、朝になってから行動します。

 ・単独登山の場合(これが一番難しい!!)

  電話や、メールで連絡をとります。「ホイッスルを鳴らす」「クッカー等の音を鳴らす」等、

周囲の人に気づいてもらう努力と、ビバークの準備をします。

       (出典:「山のエマージェンシー」(山と渓谷社)、他、 まとめ:野元)

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  5 簡易ハーネス
簡易ハーネス 
   
 
  D 山での気象

 
 
   1 山での気象

   
   

<山の天気の特徴> 

 テレビや新聞などで見る天気予報は平野部の天気であり、山の天気とはかなり異なっています。山の天気の特徴について基本的なポイントを理解しておきましょう。山は低気圧と同じものと考えた方がよいでしょう。水平方向に吹く風は平野部では単に吹き抜けるだけですが、山にぶつかった風は、斜面を頂上に向かって吹くようになります。つまり、上昇気流ができるわけで、これが山の悪天候の大きな原因であり、山で雷が起こりやすい原因となっています。その一方で、風下側では風は下降気流になるために、例えば、谷から吹き上がった霧は反対側の谷に下りると消えることが多くなります。高い山では悪天になる前に頂上付近に「かさ雲」がかかることがあります。これは湿った空気が山の斜面にぶつかった後、斜面に沿って上昇し冷やされた空気が雲をつくるもので、風上側の斜面が低気圧と同じ働きをしていることになります。湿った空気は反対側の斜面を吹き下りる時には下降気流、つまり高気圧と同じ働きになります。「かさ雲」がかかると半日以内に天気が崩れてしまいます。山の地形と気温、水蒸気量の関係で山の天気は平地と大きく異なります。また、湿度が大きく影響しています。空気が湿っているほど低い地点から霧が出ることになります。高い山ほど天気が悪くなりやすいのは空気がより冷やされて雲ができやすいからです。上空の天気図を「高層天気図」と呼び、高度1,500m3,000m5,500m1m等での天気図があります。特に1,500m3,000mの天気図が登山に役立ちます。

 

<山の高さや風速と気温>

 一般に標高が100m上がる毎に0.6℃気温が低下すると言われます。身体で感じる体感温度には風の強さも大きく影響します。風速1m/秒で体感温度は約1度下がります。雨や汗で服が濡れると保温ができなくなり更に下がり、危険になることもあります。

 

【登山前日迄】山の天気予報で、登る山の地域や山頂付近での天気を把握しましょう。

【登山中】  天気予報で一日の天気の傾向や大気の傾向をつかんだ上で、空をよく観察します。雲の変化、風の向きや強さ、肌で感じる気温の変化など、五感を使った観天望気は数時間先の局地的な天候の予測に役立ちます。電波状態が良ければ、スマホで最新の山の天気予報を知ることができます。

 

<インターネットでの天気予報の活用>

PCやスマホ等を利用して山の天気予報をチェックすると便利です。Google検索等で「山の天気」と入力すると、下記に例示する各種サイトが出てきます。登る山を入力すると、登山指数(A,B,C)、標高別の気温、風向き、風速等の予報がタイムリーにチェックできます。

   日本気象協会

   てんきとくらす「天気と生活情報」 

   山の天気 tenki.jp

   山の天気 YAMAKEI ON LINE

              (出典:「山岳気象入門」山と渓谷社、その他。 まとめ:野元)

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 2 『山の観天望気』


      
   

 

        

山の天気は変わりやすいです。登山中でもスマホで天気の最新情報は入手できますが、いつも電波があるとは限らないし、麓の予報が当てはまるとも限りません。そんな時、気象変化を教えてくれるのが「雲」です。雲を見たり、風を感じたり、人間の五感を使って今後の天気を予想することを「観天望気」といいます。 

例えば、春、秋、冬なら西の空に現れる雲を見ることで天気の崩れを判断できます。また、北アルプスなど日本海に近い山にいる場合、日本海側の空に天気を崩す雲がないかを確認することも必要です。加えて、空の高いところと低いところに別々の雲が出ている場合は、低い雲に注目するとよいです。高い雲よりも低い雲の方が動きが見やすく、そこから風向きを知ることができます。海側から雲が近づいてくるときは天気の崩れに直結するので、注意が必要です。

「10種の雲形」
【巻雲】 空高くに現われ、カーブを描く半透明な雲。乾いたすじ状は好天、湿った感じで、
                 かぎ状だと悪天の前兆です。
【巻層雲】
 空一面に広がる薄い雲。この雲が高層雲に変わると天気は崩れやすい。巻積雲が巻層雲に変わるときは天気に無関係なことが多いです。

【巻積雲】 魚のうろこのような塊状の雲。ひとつひとつの塊が大きくなり、
高度が低くなるようだと天気が崩れる恐れがあります。


【高層雲】 「曇り空」のときに見られる、空全体を覆う灰色の雲。巻層雲が厚みを増し高層雲に変わると、数時間後に雨が降り出すことが多いです。

【高積雲】 巻積雲に似ていますが、ひとつひとつの塊が大きいのが特徴。
雲量が増えて空全体に広がると天気は悪くなります。


【積乱雲】 大雨や雷雨をもたらす非常に危険な雲。上空に寒気が入るなど大気の状態が不安定なときに
現われることが多いです。

【乱層雲】 空一面に広がる暗い灰色の雲で、雨や雪をもたらします。
しとしとと長時間降るのが特徴で、雲底が暗いほど強く降ります。


【層積雲】 畑のうねのように見える雲。雲頂高度が2㎞以下のことがほとんどなので標高2000m以上
の山では晴れることが多いです。

【積雲】 「わた雲」とも呼ばれ、白い綿のように見える雲。大気が安定しているとすぐに消えますが、
不安定だと積乱雲に成長します。

層雲】 霧が発生するときにできる、通称「きり雲」。ただし山ではほかの雲でも霧ができるので、
「きり雲」かどうかの判別は難しいです。


(出典: 「山の観天望気」(猪熊隆之、海保芽生)、 まとめ野元)

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   E 山の装備
   
  
 1 レインウエアの手入れ



風雨の中での行動をいかに安全・快適なものにできるかは、レインウエアの日頃のメンテナンスに大きく左右されます。どうすれば買った頃の初期性能を維持できるでしょうか? その答えは、「洗濯」と「熱処理」です。こまめに洗濯し熱処理を施すことで、レインウエアの防水透湿性を維持するために重要な役割を果たす「はっ水性」を回復させることができます。

■洗濯は使用するたびに

「レインウエアは自宅で洗濯できますか?」「どの位の頻度で洗濯すれば良いですか?」といったご質問をよく受けます。洗濯による生地へのダメージを気にされてのことだと思いますが、使用後にそのまま保管することで受けるダメージと比較すれば、たいしたものではありません。生地に付着する汚れは目に見えにくいものが多く、着用するだけでも汗や皮脂汚れが付着します。理想的なのは、使用するたびに洗濯することです。こまめに洗濯することでレインウエアの寿命を延ばすことができるのです。

■レインウエアの性能が低下する理由は?

現在主流のレインウエアは、ゴアテックスをはじめとする防水透湿性素材を採用しています。雨など水滴は通さず、ウエア内部の蒸れ(水蒸気)だけ通す構造をもった素材です。メンテナンスを怠ってはっ水性能が低下すると、表面の生地が保水してしまい、水蒸気の逃げ道がなくなり、ウエア内部で結露してしまいます。皮脂や泥汚れ、摩擦ではっ水基が倒れるとはっ水性が低下。生地が保水してしまい、透湿性も下がることになります。

■洗濯方法

1】洗濯の前に

汚れがひどい部分には、直接マルチクリーナーを塗布しておきます。

2】洗濯機で洗う

ウエアを洗濯用ネットに入れます。ジッパーやベルクロタブは閉めておき、デリケート洗いコースで洗濯します。専用の洗剤を使いましょう。柔軟剤入り洗剤は不可。

3】すすぎ(脱水はしない)

生地に洗剤を残さないよう、通常の2倍程度長くすすぎを行います。洗剤が残っていると、その成分が水を引き寄せ、はっ水性の低下につながります。

4】乾燥と熱処理

洗濯で汚れを落としたら、乾燥とともに熱処理(目安は60℃以下)を施します。

乾燥機で乾かす場合:洗濯表示を確認し、乾燥機の使用が可能なら乾燥機の使用をおすすめします。熱処理を施すと、はっ水性能を回復させることができます。

自然乾燥の場合:風通しの良い場所で陰干しします。乾燥後、アイロンやドライヤーで熱 処理を施すことで、はっ水性能を回復させることができます。

【アイロン 】 必ずあて布をし、低温で行ってください。
【ドライヤー】 10cmほど離し、60℃程度の風が当たるようにしてください。

■日頃の管理 日頃ザックに入れたまま放置はダメです。風通しの良いところでハンガーに掛け、折り目が付かないようにしておき、山行に行く時ザックに入れましょう。

         (出典:mont-bellカスタマーサービス情報、その他、 まとめ:野元)

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  2 入会者 装備の紹介
 

【最初に準備する基本的な装備類】   

山行に行くには色々な装備が必要ですが、この資料は初心者がまず買い揃えるべき最低限の装備を紹介します。他の装備は必要に応じて、ボツボツ用意して頂けたら結構です。また、下記装備品類は、晴天の日帰り山行でも常にザックに収納して参加してください。疑問点が有れば気軽に会員にお尋ねください。

(注:下記写真は例であり、推奨品を示すものではありません。)

 

1.      雨具(上下セパレート式、ゴアテックス製)。

コンビニ等のビニールカッパは絶対ダメ

 

2.      ソース画像を表示テープスリング(簡易ハーネス等用)   

120cm:1本(幅20mm

 (体格の大きな人は150cm

   60cm:2本(幅10又は20mm

 

    

3.      登山用カラビナ(簡易ハーネス等用)

ソース画像を表示ソース画像を表示・安全環(安環)付カラビナ:1本  

・カラビナ        :2本

                       

 

 

 

 

                    <安全環付カラビナ>  <カラビナ>

ソース画像を表示

4.      ヘッドランプ

(乾電池より、充電式の方が便利です)

ソース画像を表示

 

5.      プレートコンパス

(読図等用)

 

 

 

 

【京都市内の山の店:「好日山荘」、「モンベル」、「ロッジ」、「石井スポーツ」等】
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  3 レイヤリング

登山は汗をたくさんかいて体を動かすので、乾きやすくて動きやすい服を選びましょう。

<乾きやすい服>

乾きやすい服は、化学繊維(ナイロンやポリエステルなど)で作られるウェアが当てはまります。コットンの服は吸水率が高く、いつまでも汗が乾かないので、体温が奪われ続けてしまい、低体温症を引き起こす危険性も。一方、化学繊維のウェアは繊維自体が水分を含まないので、汗で濡れてもすぐに乾かすことが可能です。化学繊維が肌に合わない場合は、ウール製のウェアがおすすめです。ウールは汗で濡れても冷たさを感じにくいという特性があります。

<動きやすい服>

動きやすい服とはストレッチ性がある服のこと。なかでもストレッチ性を重視したいウェアがパンツです。生地が伸縮しないと足を上げたときに突っ張る感じがあり、動きづらく感じます。

<レイヤリングとウェアの種類>

登山では、乾きやすさと動きやすさをベースに考えて、そこに保温性、防風性、防水性など、性能の異なるウェアを状況に応じて重ねることで、さまざまな気温や天候に対応します。山では標高が100m上がるごとに気温が約0.6度下がり、冷たい風が吹くこともあれば、雨が降ることもあります。山で起こり得るさまざまな状況にウェアだけで対処する必要があるので、登山の服装には「レイヤリング」が欠かせないのです。登山のレイヤリングでは、ウェアを肌に近い順に「ベースレイヤー」、「ミッドレイヤー」、「アウターレイヤー」の3層に分けて区別します。それぞれの層を状況に応じて組み合わせることで、多様な山の環境に対処しようというのが、レイヤリングの基本的な考え方です。

<肌面をドライに保つ「ベースレイヤー」 

ベースレイヤーは肌のすぐ上に着るウェアで、肌面をドライに保つ役割があります。汗を吸い上げる「吸水性」と、吸い上げた汗を表面で拡散させる「拡散性」があります。ベースレイヤーの速乾性はとても重要で、衣服が濡れたままだと長時間に渡って体が冷やされてしまい、最悪のケースも考えられます。ベースレイヤーには速乾性を備える化学繊維か、濡れても冷たさを感じにくいウールの服を選びましょう。

<汗を離して体を温める「ミッドレイヤー」>

ミッドレイヤーはベースレイヤーの上に着るウェアで、肌面から汗を遠ざけながら体温を保持する役割があります。そのため、ミッドレイヤーには、汗を吸い上げる「吸水性」と、体を温める「保温性」が主に備わります。ただし、ミッドレイヤーは行動中に着るウェアなので、保温性が高すぎると暑くて着ていられないという状況になりかねません。保温性と通気性のバランスが重要です。この相反する性能を備えるウェアが、フリースやアクティブインサレーション等です。

<雨や寒さから体を守る「アウターレイヤー」>

アウターレイヤーは一番外側に着るウェアです。雨を防ぐ“防水性” 、寒さから体を守る“保温性”、風を遮る“防風性”が主な性能で、それぞれに特化したウェアは、レインウェア(雨具)、インサレーションウェア(保温着・ダウン等)、ウィンドシェル(ウィンドジャケット)などと呼ばれています。なかでも、レインウェアとインサレーションウェアは登山装備の必須アイテム。レインウェアは上下セパレートタイプがおすすめです。インサレーションウェアは休憩中や夜間に着る、保温性に特化したウェアです。ウィンドシェルはレインウェアで兼用できるため、必ず必要ではありません。ただ、レインウェアより透湿性が高く行動中に蒸れを感じづらいという特長があるため、持っていると出番が多くなるアイテムでもあります。

(出典:YAMAYA1から学ぶ登山の服装 レイヤリングの仕組とウェアの種類。まとめ野元)

 

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  4 日帰り装備

ザック、上下別のレインウエア、コンパス、地図、計画書
 水分(寒い季節でも一リットルぐらい)、お弁当、おやつ

 カラビナ 安全環付カラビナ 60cmシュリンゲ2本
 120cmテープシュリンゲ 笛 
 救急セット、レスキューシート、非常食、

 ヘッドランプ(予備電池) 靴下 手袋 タオル
   ロールペーパー  等々

ザックの中にこれらを詰め込んでいきますが、
 直接入れるのではなく、ゴミ袋のようなビニール袋に
 入れて持っていくと、(中袋して)
     雨の場合などでも中までぬれませんよ
 ザックカバーだけでは、水が中まで染み込んできます



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  5 登山靴
登山靴は、歩きやすく、足の怪我を防止し、疲れを軽減するようなものがよい
 しっかりと足首までフォローするハイカットが望ましい。
     カットが深い方が足首をひねり怪我も起きにくく、
  慣れるとバランスもとり易く疲れにくい。

   全体の造りが堅くしっかりしており、ソールが硬い方が疲れにくいと思う
      スリップや足をひねったりなどのトラブルも回避しやすい
 また、急な岩場で足場が少ない場所などでは、柔らかい靴では底のゴムが
    曲がってすべってしまうが、
 硬い靴であれば小さな足場に体を預けることができる。

    ソールに黄色い「Vibram 」(ビブラム)というタグのついた
    イタリアのビブラム社製のソールが歴史と共に耐久性があるらしい

 防水性でゴアテックスまたはゴアに準ずる素材が使われている物が必要です
  大きさは靴を履き、足をつま先に当たるまではき、かかとに人指し指を入れて、
 指が1本入るくらいの余裕
があれば、それが理想のサイズといわれています。

  最近、布製の靴でも防水性素材をつかい、皮製の靴に匹敵するような靴もあり、
     最初の一足は軽くて足に馴染み易いものでもよいかな
 


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  6 レイヤリング2

登山の服装は「レイヤリング(=重ね着)」が基本「アウターレイヤー」「ミドルレイヤー」「ベースレイヤー」などといった、役割の異なるウェアを状況に応じて組み合わせ、山のさまざまな環境に適応するテクニックです。どんな服を、どうやって、どんな場面で重ね着するのか?レイヤリングの基本的な考え方と注意点、各ウェアの特徴を纏めました。

レイヤリングは体温を低下させないことが最大の目的です。登山中の雨や風、標高が上がることによる気温の低下、運動によって生じた汗の冷えは瞬く間に体の熱を奪い、山中での行動不能・低体温症など遭難の危険性を高めます。

 

【基本となるのは機能の異なる“3+1”の層】

アウターレイヤー:雨や風など、外気から身を守る層。ミドルレイヤーから移行された汗を「透湿」する役割も備えている

ミドルレイヤー:ベースレイヤーとアウターレイヤーの中間に着る層。レイヤリングの調整役で、保温と汗処理が役割。

ベースレイヤー:かいた汗を吸い上げて拡散し、肌をドライな状態に保つ。

ドライインナー:ベースレイヤーのさらに下に着るウェアで、汗を素早く肌から離して上層へと移行。汗の不快感や汗冷えを軽減してくれる。 例finetrack

この4レイヤーが機能することで、肌から出た汗はウェアを通り抜けて外へと拡散。ミドルレイヤーが体を保温し、アウターレイヤーが雨や風から体温低下を防ぐなど、山の変わりゆく天候に適応するためのシステムが生まれます。

 

例えば、気温の低い朝などはミドルレイヤーを着て出発。気温が上がったらベースレイヤーで行動し、標高が上がり寒くなってきたら再びミドルレイヤーを着用。雨が降ればアウターレイヤーを着るなど、その時々の状況に合わせて着脱をし、体温を適切な状態に調節します。

レイヤリングに「絶対大丈夫」はありません。自分に合った組み合わせを工夫しましょう。

素材は主に「化繊」「ウール」「ハイブリッド(化繊とウールの混合)」が使用されています。

すべてのウェアに共通することですが、綿(コットン)素材は登山に適していません。水分を吸収しやすく乾燥しにくいため、急速に体温が奪われてしまい危険です。

ユニクロのヒートテックインナーなど、「レーヨン」が含まれたウェアも登山には不向きです。

夏山は「山シャツ」や「ジャケット」が便利

秋冬の寒い時期は「フリース」や「化繊インサレーション」が定番

ダウンは圧倒的な温かさを持ちますが、濡れると保温性が低下するため行動着には不向きです

休憩時や山小屋等で利用します。

 

レインウェア:携行時の扱いやすさを重視し、コンパクトで収納しやすく、軽量なモデルが多い

ハードシェル:寒冷で強風のなか、常に着用する前提で作られている。風やアイゼンなどの引っかけから守るため生地が分厚く摩擦に強い。脇などにベンチレーションが備わっているモデルも多い。本格的な冬山を目指すのであれば安全のためにもハードシェルを備えておきたいところです。アウターレイヤーといえば「ゴアテックス」という防水透湿素材が高機能で有名です.

目的の登山スタイルと予算を照らし合わせて、自分に合ったアウターレイヤーを探しましょう。

 

(出典:YAMAHACK「登山入門」快適登山は「レイヤリング」が9割。 まとめ野元) 


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  F 山の読図
  
   1 ナビゲーション

  
  
  



  
   






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「現在位置を把握しているか?」「残りの行程はどのくらいか?」「引き返すルートを覚えているか?」登山者はこの三つを自問自答し続けながら行動しています。ナビゲーションと言えば「地図を読むこと」と思う人が多いでしょう。しかし、地図を読むことはナビゲーションの一部に過ぎないのです。「ナビゲーション」とは、現在位置、全体の行動状況、脱出経路の三つを常に把握し、出発地点から目的地点まで確実に行動するための技術と手段を指します。

ナビゲーションに必要なものは、地形図、コンパス、高度計、GPSなどの装備、登山計画、観察力と判断力、判断に基づいて行動する習慣です。

1)       地形図の役割と準備

   概念図を描く:事前に地形図から尾根や沢、ピーク、鞍部等の特徴を読み取る

   磁北線を引く:

   地形図に登山ルートを書き入れ、主要な通過点(ピーク、コル、分岐、変化点)を選定する。これらは、現在地を把握したり、道間違いを防ぐために使用する。

2)       観察力と判断力:現地で山を観察し(遠方&近場)、自分の目で地形図の限界を補う。

3)       道間違いからの修正:道間違いに気付いたら立ち止まり、考える。周囲を観察し現在地を確認する。間違えた地点まで引き返す。(間違いに気付かないことを「迷う」と言う)

4)       現在位置の確認方法:ピーク・尾根・沢等の見え方から地形図と照合して自分の現在地を割り出す、YAMAPの利用、等

登山の原則として、登山者は行動する体力がある限り、目的地を目指して動き続けなくてはなりません。遭難事故の分析によると、悪天候の中で行動を起こしているという判断ミスもありますが、動かなくてはいけない状況で安易にビバークしたり行動を停止した為に、重大な結果を招いている傾向が見受けられます。行動を起こす前に、天気予報を見て天気を評価することや、登山ルートの危険箇所を予測することが大切です。登山におけるナビゲーションとは、単なる地図のゲームではなく、生き延びるための技術(サバイバル技術)であることを覚えておいて欲しいものです。

                (出典:「大人の山岳部」 笹倉孝昭。 まとめ:野元)

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  G 山に登る前
 
 
  準備運動

  

  
  



 
  


【登山前の準備運動】

登山では標高や足場の状況、坂道の多さ、傾斜の状況などで身体にかかる負担は変わりますが、かなり下半身に対して負担がかかります。筋肉の疲労の蓄積など筋肉痛の症状が少しでも軽減できるようにストレッチなどの準備運動をすることが大切です。

ストレッチを登山前に準備運動として行うことで、筋肉の柔軟性が向上し、筋肉の炎症や痛みの予防、捻挫などの予防に繋がります。硬い筋肉のまま登山を開始すると筋肉自体の血流も悪く、伸び縮みもしにくいため筋肉に負担がかかり怪我に直結します。ストレッチの前に筋肉の温度を上げて筋肉が伸びやすい状態を作っておくことが大事です。できれば、登山口まで歩いて筋温を温めてから準備運動という流れがオススメです。またストレッチは休憩中や登山後も行うことで、次の日以降の筋肉痛の出現の予防にも繋がります。

 

登山に限らず準備運動などで行う際のストレッチとしての注意点は、息を止めないこと、および反動をつけてグイグイと繰り返し勢いをつけて伸ばさず、一度ストレッチの姿勢をとったら、そのまま30秒以上静止することが大切です。ストレッチをすることで逆に筋肉を傷めてしまっては意味がないので、少し時間をかけてゆっくりとストレッチを行うことをお勧めします

【登山のためのトレーニング】

目指す山(目標)に必要な筋力・持久力を強化することがトレーニングです。当然、目指す山によってトレーニング内容は異なります。また、登山に必要な筋肉ほど加齢により衰えやすくなります。しかし、積極的に筋力トレーニングを繰り返すことにより筋肉の衰えを防止し更に強化することができます。また、平地の散歩ではなく、低山歩きがトレーニングとしておすすめです。

<トレーニングの4原則>

   過負荷の原則:きついと感じる強い負荷も時々かける。

   特異性の原則:平地の運動と登山は異なる。登山と似た運動をする必要がある。

   個別性の原則:自分に必要なトレーニングは自分で考えて実践する

   可逆性の原則:トレーニングをすれば体力はつくが、やめれば元に戻る。

<サーキットトレーニングの例>

スクワット、かかと上げ、上体起こし(腹筋)、上体反らし(背筋)、腕立て伏せ

等の運動を10~30回を1セットとして3~5セット行います。

 

(出典:「大人の登山入門」「登山の運動生理学とトレーニング学(山本正嘉)」 
まとめ:野元
 
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  トレーニング



 

★【体操】

   ラジオ体操(最も身近な運動です)

   くねくね、がにがに体操(テレビでも度々紹介されました)

・「くねくね」:真っ直ぐ立った状態から、頭を固定して腰を左右にくねくね動かす。

       ひらがなの「く」を書くイメージです

・「がにがに」:両手を上げて、肘を曲げ指を上に向けます。

       足を交互に上げ、上げた膝が肘に当たる様に行います。

<それぞれ、10回ずつ、できれば2~3セットやりましょう>

 

★【筋肉トレーニング】

登山に必要な筋肉ほど加齢により衰えやすく転倒の原因になります。日頃から筋肉トレーニングを継続することにより、筋肉の衰えを抑え、歩く力を維持しましょう。

<サーキットトレーニング> (一例)

 ・スクワット(大腿四頭筋を中心に大腿部の筋肉を鍛錬する運動)

 ・上体起こし(腹筋運動):補助者に足を抑えてもらうかソファー等で固定します

 ・かかと上げ(ふくらはぎを強化する運動、痙攣しやすい人にお勧めです)

 ・脚上げ運動(腹筋を鍛える運動)

 ・腕立て伏せ

それぞれ、10~30回を1セットとして、3~5セット行います。

回数は自分の体力に合わせて、軽い負荷から始めて徐々に負荷を上げていきます。

(出典:山本正嘉先生「登山の運動生理学とトレーニング学」)

 

★【自宅近くでのトレーニング】 自宅近くの山や階段でのトレーニング

  自分のトレーニング目的に合わせて、歩荷(6~10kg)をお勧めします。

   明治天皇陵の階段上り下り(230段)

   伏見稲荷:稲荷山(233m)、伏見稲荷の駐車場は無料です。

   大文字山(466m)

   男山(八幡市)(143m)

その他、坂道やマンションの階段など、その気になればいくらでもあります。

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 驚くほど効果がある、
 登山の筋トレ3つ




 
     








 
    









   

登山では、おもに以下の筋肉を使用しています。「太もも」「ふくらはぎ」「お尻」「体幹」

【脚まわりのトレーニング】

スクワットはトレーニングの王様と呼ばれています。

<スクワットのやり方>

   立った状態から肩幅程度まで開き、足先の向きを少し外側に向ける

   お尻を後ろに突き出すイメージで、ヒザが90度になるまで徐々に姿勢を低くする

   太ももが地面と平行になったら、ゆっくりと元の姿勢まで戻す

おすすめの回数 = 自分の出来る限界の回数 × 3セット

ふくらはぎのトレーニング

太ももが疲れて足があげづらくなった時など、ふくらはぎを使ってサポートします。また、雪山でもキックステップ時などに多く使う筋肉です。

ふくらはぎを鍛えるのに最適な筋トレが「カーフレイズ」です。

   足を肩幅まで開き、壁や手すりなどに軽く手を添える

   少し前傾になりながら、かかとをあげてつま先立ちになる

かかとは限界まで上げましょう。ゆっくりとした動作を意識することで、しっかりとふくらはぎに効かせることが出来ます。回数よりも、ゆっくりとやることを心がけましょう。

   かかとが上がりきったら、ゆっくりと下げる

かかとをおろすときは、地面につかないようにします。

おすすめの回数 = 自分の出来る限界の回数× 3セット


【体幹のトレーニング】

「体幹」とは、胴体の複数の筋肉群を指したものですが、大雑把に腹筋と背筋と覚えてしまって問題ありません。

   うつぶせになり、腕を肩幅程度まで広げる

   ヒジをついたまま上体を起こし、腕の角度を90度に保つ

   つま先を立てつつ、体を地面から浮かせる

   そのまま足から首筋まで一直線の状態をキープする

 おすすめの回数 = 自分の限界の秒数 × 3セット。

まずは20秒キープを目指しましょう。登山ではバランスよく歩く必要がありますが、そのために必要な筋肉が体幹です。

 

登山用の筋トレをやる場合には、週に23回程度を目安にやりましょう。

筋トレは休むこともトレーニングのうちです。

 

他にも色々な筋トレがあります。自分なりに工夫して、楽しく登山を続けられる体づくりを心掛けましょう。

(出典:「やますぐ」、 まとめ:野元)

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    登山計画書



    


家族へ「2泊3日で北アルプスの穂高岳へ登ってくるね。」とだけ伝えて、山へ向かったものの向かった本人は3日経っても帰ってきません。家族が心配して警察へ連絡を入れますが、「2泊3日」「穂高岳」という情報しかないためどこから入山してどこに泊まって、どのルートを辿ったのかも分かりません。そもそも「穂高岳」は北穂高岳、奥穂高岳、前穂高岳、西穂高岳の4峰あり、どの穂高岳に登ったのかも分からないため警察や山岳救助隊の方々も広範囲の捜索を行うこととなり、発見まで時間もかかりますし捜索費用も膨大になります。このような状況を防ぐために、登山届(登山計画書)は必要不可欠なのです

どんな低山であっても登山計画書の作成は必須です。もし経験者の方と登山される場合は、その方に作成してもらっても良いですが自分で作ってみると、登山に対する意識が変わってきますので、一度作成してみることをオススメします。

登山届(登山計画書)は決まったフォーマットはありませんが下記の様な内容を記します。

・どんなメンバーで登るのか?

・どんなスケジュールで登るのか?

・どの登山口からどのルートを登って、どの下山口へ下りるのか?

・どこに泊まる予定なのか?テント泊か山小屋泊どちらか?

・どんな装備で登るのか?

・何日分の食糧を持って登るのか?

・緊急連絡先

 

伏見山の会の規定では、日帰り例会は機関紙に掲載された「山行案内」を登山計画書とみなします。一方、宿泊を伴う山行の時は登山計画書を作成し、運営委員会及びそれに準ずる会議に提出することになっています。また、例えば、比良山域等では登山口で登山計画書の提出を求められますので、別途用意する必要があります。個人山行でも登山口に登山届けポストがある場合は進んで登山届けを出しましょう。ポストに簡単な登山届け用紙が準備してあります。

最近では「ヤマケイオンライン」や「ヤマップ」など、インターネットを利用した登山届けも色々なサービスが普及しており、便利になりました。

(出典:「登山ガイド 上田洋平氏の記事」、その他。 まとめ:野元)

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   H 雪山を楽しむ

 

   1雪山を楽しもう



    

雪山、この白銀の世界は夏山にはない絶対的な魅力の一つです。雪と氷の白銀の世界に青い空が映える景色はため息が出るほど美しいものです。日々の生活では出会うことができない景色は日常のストレスを吹き飛ばします。雪山を安全に楽しみましょう!!

1.雪山の装備と歩行技術

 <レイヤリング>

 積雪期は、低温と強風、激しい気象変化と運動強度の違いによる発汗や冷えなど、初夏から秋よりも厳しい条件の中で登山をすることになります。厳しさゆえにウェアのレイヤリングの重要性は更に高まります。まず、肌に触れる第1層のベースレイヤーで汗と水蒸気を吸い上げて、生地表面で蒸発させます。第2層のミッドレイヤーは、第1層からの水蒸気を更に外側へと送り出し、生地内に効率よく蓄えられた空気で外の外気を断熱する。そして一番外側のシェルレイヤーは暴風・防水・透湿の役割を受け持ち、文字通り「殻」(シェル)として機能します。

<歩行技術>

 雪上歩行技術を身に付ける為には十分な夏山経験が基礎として必要です。最も基本となる「フラットフィッテイング」は夏山のザレ場など足場が不安定な場所と共通します。

2.山では“自分の進むべきルートを自分で考えられる”技術が必要

夏山(無雪期)登山と雪山登山の決定的な違いは、登山道のアリ・ナシでしょう。登山道を上り下りする登山の場合、指導標や案内板、岩に描かれた〇印のペンキマークなど、登山道を歩くための配慮がされているのが夏山登山です。雪山の場合は登山道は雪の下なので、登山道の場所を把握したい時は、樹林の生え方や目標物の位置など周囲の状況から予測しなければなりません。また、積雪期では登山道の上にルートをとることが危険な場合もあります。無雪期には多くの登山者が行くルートでも、積雪のある時期には雪崩の危険が随所にあるので、通ることが難しくなります。雪山に行く場合は、準備段階からどこにルートをとって登るのか、しっかり計画を立てる必要があります。それでも、現場で狭いルンゼの合流する箇所に行き当たったり、上部に不安定な雪面があったりするとわかれば、その場で行くか行かないの判断が求められます。雪山で安全に登山ができるということは、“自分の進むべきルートを自分で考えられる”技術を身につけているということです。

<工夫しながら進む! 地図が読めないとNG!>

前進することだけを考えても、「安定する足場を決める」、「バランスを保つためにピッケルを確実に持つ」など、絶えず“工夫する”ことが必要です。また、コンパスを使った地図読みも不可欠な技術です。自分のいる場所を把握し、これからのルートを決めるために頻繁に地図を引っ張りだして“読む”ことが求められます。単に地図を持っているだけではダメです!

雪山技術と言うと、氷雪技術や生活技術など、雪山ならではの技術が先に浮かぶかもしれません。それらも当然必要ですが、「絶えず工夫する。都度考え判断をする」ということが最重要技術です。雪山で身につけた技術は、夏山でももちろん役に立ちます。

(出典:「大人の山岳部」、YAMAKEI online(山田徹哉)、その他まとめ:野元)

雪山、この白銀の世界は夏山にはない絶対的な魅力の一つです。雪と氷の白銀の世界に青い空が映える景色はため息が出るほど美しいものです。日々の生活では出会うことができない景色は日常のストレスを吹き飛ばします。雪山を安全に楽しみましょう!!

1.雪山の装備と歩行技術

 <レイヤリング>

 積雪期は、低温と強風、激しい気象変化と運動強度の違いによる発汗や冷えなど、初夏から秋よりも厳しい条件の中で登山をすることになります。厳しさゆえにウェアのレイヤリングの重要性は更に高まります。まず、肌に触れる第1層のベースレイヤーで汗と水蒸気を吸い上げて、生地表面で蒸発させます。第2層のミッドレイヤーは、第1層からの水蒸気を更に外側へと送り出し、生地内に効率よく蓄えられた空気で外の外気を断熱する。そして一番外側のシェルレイヤーは暴風・防水・透湿の役割を受け持ち、文字通り「殻」(シェル)として機能します。

<歩行技術>

 雪上歩行技術を身に付ける為には十分な夏山経験が基礎として必要です。最も基本となる「フラットフィッテイング」は夏山のザレ場など足場が不安定な場所と共通します。

2.山では“自分の進むべきルートを自分で考えられる”技術が必要

夏山(無雪期)登山と雪山登山の決定的な違いは、登山道のアリ・ナシでしょう。登山道を上り下りする登山の場合、指導標や案内板、岩に描かれた〇印のペンキマークなど、登山道を歩くための配慮がされているのが夏山登山です。雪山の場合は登山道は雪の下なので、登山道の場所を把握したい時は、樹林の生え方や目標物の位置など周囲の状況から予測しなければなりません。また、積雪期では登山道の上にルートをとることが危険な場合もあります。無雪期には多くの登山者が行くルートでも、積雪のある時期には雪崩の危険が随所にあるので、通ることが難しくなります。雪山に行く場合は、準備段階からどこにルートをとって登るのか、しっかり計画を立てる必要があります。それでも、現場で狭いルンゼの合流する箇所に行き当たったり、上部に不安定な雪面があったりするとわかれば、その場で行くか行かないの判断が求められます。雪山で安全に登山ができるということは、“自分の進むべきルートを自分で考えられる”技術を身につけているということです。

<工夫しながら進む! 地図が読めないとNG!>

前進することだけを考えても、「安定する足場を決める」、「バランスを保つためにピッケルを確実に持つ」など、絶えず“工夫する”ことが必要です。また、コンパスを使った地図読みも不可欠な技術です。自分のいる場所を把握し、これからのルートを決めるために頻繁に地図を引っ張りだして“読む”ことが求められます。単に地図を持っているだけではダメです!

雪山技術と言うと、氷雪技術や生活技術など、雪山ならではの技術が先に浮かぶかもしれません。それらも当然必要ですが、「絶えず工夫する。都度考え判断をする」ということが最重要技術です。雪山で身につけた技術は、夏山でももちろん役に立ちます。

(出典:「大人の山岳部」、YAMAKEI online(山田徹哉)、その他、 まとめ:野元)
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   2 雪山での歩き方

雪山の歩行技術というと難しそうなイメージを持っている方も多いかもしれませんが、基本の歩行技術は夏山とほとんど変わりません。でも、きちんと歩けている方はとても少ない。雪山になったとたん、滑ることへの恐怖心や、足元の不安定さから、姿勢が崩れてしまい、間違った歩き方になってしまうんです。

雪山では「転ばない」ことが何より重要。転ぶことがリスクになる。まずは、登山靴だけ(アイゼン無し)で歩いても転ばない基本の歩行技術を身につけて、安全に雪山を歩きましょう。

基本の歩行技術|フラットフッティングを身につけよう!

まず始めに身につけたいのが「フラットフッティング」という歩行技術。足裏を地面にしっかり押しつけて歩く方法です。雪道では、かかとや爪先など、足裏の1点で着地するのは御法度。1点に力が集中しているので、「ツルン!」と見事に滑ってしまいます。一方、フラットフッティングは足裏全面で摩擦を生み出すので、滑りにくく、歩行が安定します。

登りでは、斜面を少し蹴って足場を作ったあと、フラットフッティングでしっかりと踏みしめるようにします。下りでは、できるだけ足裏全面を使って、斜面を踏みしめます。ここで注意したいのが、かかとを使って蹴り込んでしまわないこと。かかと1点に力が集中するので、柔らかい雪のときは崩れやすく、硬い雪のときは滑りやすくなります。また、雪山では、歩幅は小さめに、一歩ずつ丁寧に歩きます。一方の足を安定させてから、次の足を出すことを意識しましょう。

 

アイゼンの種類|爪の数によって使う場面が違う! 爪の数で分けると主に2種類

68本爪の軽アイゼンと、1012本爪の一般的なアイゼンの2

軽アイゼンは、力がしっかりかかる足の裏、主に土踏まずのあたりに爪が集中しています。夏山で雪渓を歩くときや、低山で雪が降ったときなど、雪が柔らかい&斜度が小さいという条件が揃ったときに使います。本格的な雪山には向きません。

1012本爪のアイゼンは、爪先からかかとまで、まんべんなく爪が並んでいます。よく見てみると、形や大きさ、向きが少しずつ違うのがわかるはず。それぞれをしっかり利かせることで滑りにくくなるので、すべての爪をきちんと雪に突き刺すことが大切です。

 

フラットフッティングは、アイゼン歩行の基本技術でもあります。足裏全体で雪面をしっかり捉えることで、足裏のすべての爪が雪面に刺さり、摩擦が大きくなって滑りにくくなります。登りも下りも同様で、足裏の爪が利いているか、感触を確かめながら歩きましょう。

斜度がきつくなってくると、フラットフッティングでは足首が曲がり過ぎてしまい、歩きにくくなります。そうしたときは、前爪で雪面を蹴り込み、足の置き場を作って歩きます。

 

アイゼン歩行に慣れないうちは、爪の引っかけには要注意です。滑落の原因である「転ぶ」のは、自分で自分の足をひっかけてしまうことで起こるのです。普段夏山では自分の足で、もう片っぽの足を擦っても転びませんが、冬山でアイゼンを履いた靴ではバンドにひっかかって、足が前に出ず転んでしまうのです。ですので、アイゼンを履いて歩くときには、足と足の間に拳ひとつ間を空ける意識を持ちましょう。足を平行に出して歩くようにしましょう。

 

(出典:「YAMAP MAGAZINR 山岳ガイド 石川高明」、 まとめ:野元)


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   3 冬山装備
◆ アイゼン  

4本、6本、8本、10本、12本などがあり、8本以下が軽アイゼンとよばれます。
    種類もワンタッチ式、バンド式など、素材もいろいろある。
    ワンタッチのほうが靴にフィットしやすい。アルミ素材は爪が減りやすい。
     アイゼンが必要なら12本爪のセミワンタッチが」よいのでは。?
    夏の雪渓歩きや冬でも低山の時用に軽アイゼンも軽くて便利だ。
            軽アイゼンでも6本は、いるかも
 

◆ ピッケル

アイゼンとピッケルは、登攀や滑落停止には必要になります。
   長さでみなさん、悩まれるのでしょうか。
  手からピッケルをぶら下げて、足首くらいまでがよいとされてきましたが、
  少し長いように思います。杖代わりに使う場合はそれでもよいのですが。
     ピッケルは、積極的登攀のためと滑落防止が役目と考えるとき、
            もう少し短めが、使いやすいです。

◆ 手袋

寒さ対策で意外に重要なのが手袋だと私は思っています
    手が冷たくなると運動面も落ちますし、気力も萎えてきます
   雨や雪を防ぐものと防寒用が必要です、
           日帰りでも予備は持っていきましょう
    ウールや革製品がよいのではないでしょうか
    作業用に薄手があれば便利です。冬場なので素手で作業し
            金属などに触れると一瞬で凍りつきはなれません。

    いずれも 登山目的、季節、どんな山に行くのかなどを考え、
      自分にあったものを選びましょう

参考に 防寒テムレスのグローブが安価で完全防水です


◆ 靴下

冬用の靴下は、保温性とが確かに大切ですが、
    靴との相性、自分の足との相性を考えて選びましょう 
     できたら、ためし履きをして 足のフィット感を確かめましょう
    原則は、一枚履きです。一枚で十分な靴下を選びましょう
          昔からのひとは、2枚履きでないとと言う人もいます
    靴下がゴアゴアになってきたら、買い替え時です。なれた靴下でも
                   靴ズレの原因になります

◆ 目出し帽

必携だと思います。防風性ではなく保温性が目的です
    顔のあたりの露出した面は、凍傷にかかりやすいのです。
     といっても厚手である必要はありません。ヘルメットにもじゃまですし、
                 行動中は暑くなります
       目の部分などに穴があいているやつではなく、
          上下にわかれているようなものがよいと『思います

◆ サングラス

雪山での紫外線は予想以上に強く、雪盲になってしまい、
   目が見えなくなります。 よって必携です。
   普通の眼鏡でも紫外線カット99%とかありますが、
     それではだめで光もシャットするサングラスが必携です。
     肌面にそったフレームがよいのですが、肌面に触れてしまうと、
                      そこが凍傷になります
ゴーグルもあれば、便利です。風が強いときに使いますが、
    登りでは風が下から吹くのと暑いので 曇ってしまいます
    下りや休憩時の使うほうが多いです (スキー用も可能) 
             最近は、曇らないようにファン付もあります

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